黄色いリボン

小学校一年生の時

黄色いリボンをもらった

入学したばかりの一年生が

通学路を覚えるまで

集団で行くための グループ分けの 目印だった

家と学校は

全く別の世界だった

学校で私は たくさんの中の1人で

決められたことをきちんとこなし

担任の手を煩わせることもなく

柔らかな水面に ぷかぷかと浮かぶ

小魚だった

黄色いリボンを揺らして帰った家では

母が待っていて

日によって 様子が違う

今思えば

キッチンドリンカーというような状態で

酔っ払って

大泣きするか

寝ているか

イライラして 部屋じゅうのものを投げて

床に散乱しているか

正気の日もあって

そんなまともな顔をみた時は

心底ほっとする

今日のママは

どんなだろう

黄色いリボンには 鈴がついていた

家に続く 最後の坂道は

鈴の音が とても小さかった

いつか 何かが 変わると思っていた

だって

黄色いリボンは とてもかわいくて

鈴の音は とても高くて

これをつけて いい子でいたら

パパもいつか帰ってきて

ママもお酒なんか 飲まなくなって

ぐちゃぐちゃに落ちてる100点のテストだって

ほめてもらえるはずなんだ

祖母の生活を手伝いに

祖母の家に帰る

買い出しで通学路の側を通ることがある

昔の話をすると

過ぎたことをいつまでも言うなと

黄色いリボンと鈴は

どこへいってしまったんだろう

あれは全部 夢だったんだろうか

少し固い 赤いランドセルも

金魚のいた庭の池も

玄関にあった 半透明のビー玉も

エイプリルフールの朝に

動かなくなってた母も

鈴がついてた

黄色い リボンも

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