北斎たちとお栄たち

市民講座に、浮世絵木版画をすってみよう、というのがあったので、

参加してみた。

版画も今まで敬遠しっぱなしだったので、

ここらで経験しておいても良かろう。

しかも、浮世絵をすれるらしい。

なんでも、廃業する版元からごっそり版木を譲り受けたということだ。

参加者22人、2人ひと組で作業を進めてゆく。

葛飾北斎富嶽三十六景の中から、11種の版木が配られる。

私の班は、有名な神奈川沖浪裏であった。

輪郭線を摺り、色版を重ねてゆく。

ずれないように摺るのにひと苦労するわけだが、

浪裏は実は他の絵と比べたら楽だったように、終わってみると思う。

富嶽三十六景ということで、すべて風景画なわけである。

風景なので、水平と垂直がある。

まずもってこれが、浪裏には、無い。

なんたって浪がうねっている。

水平も有ったもんかい。

かろうじて垂直と言えるのは、富士の山だろうか。

山が立っていると言っても、そこに垂線は見えない。

稜線はやっぱり斜めの曲線だ。

風景の中に、建物が無い。

だから、直線が無い。

ぴったりと合っていないときもちわるい線が、無い。

かろうじて直線と言えるのは、題字を囲っている二重線だけだ。

それも、妙にどんよりとした空の中にぽかんと有るだけなので、

何とも関わっていないからずれようも無い。

版画の工程の細かい話や、絵の分析の詳しい論などは

また今度ということにして。

今日ふれたいのは、講座参加者についてだ。

2人ひと組で作業するので、参加者は

机と席、そしてペアの相手が決められている。

室内を眺めると、同性同年輩で配分されているのがわかる。

なるほど。

まあ、それが一番相手に気をつかわない。

そして全体の参加者は、男女は半々。

ただし男性は60〜70代、女性は40〜60代といったところ。

なるほど、働き盛りの男性と、子育て中の女性はおらず、

気力体力にまだ余裕のある者が来ている、というところか。

そう感じていたら、今度、サンスクリットの講座に行ってみると

おもしろいように参加者の雰囲気が似ている。

参加者の年齢性別の構成を説明しようと思ったら、

上とまったく同じになる。

日本の社会のありかたの一面を見る気がする。

もっと若いうちにこういった講座を受けたらもっと吸収が良く、

もっと若い人が学べばもっと発展して社会に還元もされるように思う。

じじばばが学んでも、個人的な生涯学習にしかならんわいな。

しかしもっと若いうちは他に面白いこともあれば仕事もあるので、

こんなことには目が向かないもんだろう。

参加してみて思う、私も市民教養講座適齢期になってきたのだな。フン

一介のトランスジェンダーとしては、言いたいことがもやもやとあるが。