☆洋ちゃんの読観聴 No. 1200

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1200            

ピエール・ルメートル 「傷だらけのカミーユ」              

「その女アレックス」「悲しみのイレーヌ」の続く

カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第3作目で、

完結編。

愛妻のイレーヌを失って5年、60を過ぎたカミーユ

今後の人生で女性が現れるなどと思っていなかった。

だが、偶然の出会いにより旅行会社員でアラフォーの

アンヌと交際をはじめ親密な関係になる。イレーヌを

忘れたわけではないが、アンヌ抜きの生活が考えられ

なくなっていく。

そのアンナが突然事件に巻き込まれる。たまたま

通りがかった所で宝石店襲撃を狙う犯人グループに

遭遇した。彼女は全身を痛みつけられ瀕死の重傷を

負う。

どうやら犯行グループの主犯格は過去にも同様の

犯行を重ねてきた男らしい。捜査チームは既にある

のだが、カミーユは強引に捜査担当に名乗りを上げる。

つまり私怨であり、彼の事件にしたいのだ。

犯人は入院したアンナを襲おうと企てるが、それを

感知したカミーユの動きで、犯人は逃走する。犯行時

犯人はアンナに顔を見られたのだろうか。

犯行から解決まで、わずか3日間という短い時間なの

だが中味は濃い。執念と呼んでいいカミーユの動き、

そして「おれ」という主語で語られる主犯の男の動きが

交互に出てくる。

途中までは、犯人に迫るカミーユと、アンナを狙う

犯人というサスペンス・タッチなのだが、3日目に入り

様相は激変する。ネタばれになるので、これから読む

人のために語れないが、さすがルメートルという造り

になっている。

スリリングな構成の小説なのだが、解説の池上冬樹氏が

書いている通り、これは愛と悲しみの話でもある。

読後にずしんと余韻が残る。